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切羽へ (井上 荒野)
 甘くない恋愛小説。ひとことでこの小説を表現しようとするとこうなるのでしょうか? よくコーヒー(珈琲と書いたほうがこの場合は適切でしょうか)は大人の飲み物だといわれることがあります。初めて珈琲を飲んでその苦さに驚いた記憶はありませんか。
 しかし、大人になってその良さを知ると何にも代えがたいもののように思われます。決して派手なストーリー展開や、あまあまな場面に出くわすわけではありませんが、不思議に心を惹きつける作品です。
 小説は面白くなければ小説ではない、は私の持論です。つまりストーリーということですね。しかし、ストーリーがすべてではないこともご理解いただけると思います。小説が文章というものでつくられている以上その文章のもつ雰囲気、リズム感、情感といったものは私たちを楽しませてくれる大きな要素です。
 この作品を読んでみてまず気のついたことは、文章がとても美しいということです。それは、なかなかお目にかかれそうでお目にかかかれない――そのように感じさせられました。まるで恋に恋する乙女? が、思いもかけず憧れの君に出会った思いです。
 物語は、島に住む夫婦と島を訪れてきた男との出会いから始まります。やさしい夫を大切に思いながらも妻は着任してきたその同僚の教師に心惹かれてゆきます。超えてはならない堰のはずだったのに、水が低目に流れるように彼女の恋はのっぴきならない所まで進んで行きます。
 美しい島の風景を背景に、狂おしい恋に揺れる切ない心が静謐に描かれてゆく……
 なお、この小説は第139回直木賞受賞作です。

<切羽とは、それ以上先へは進めない場所のこと>
更新日:2012/08/29(Wed) 14:34 [修正・削除] [管理人に通知]   投稿者:かごめ 
わくらば日記 (朱川湊)
 つい「私の好きな作家の……」と書きたくなる私ですが、朱川湊氏は私の好きな(読みたい)物語を書いてくれる作家のひとりです。
 この物語では「ノスタルジックな昭和の風景、人の心の優しさ、暖かさ、悲しさ、生きるということの苦しさ、切なさ、はかなさ、そして心を惹きつける不思議な出来事」そんな様々な想いがいっぱい詰まった朱川ワールドというものに出会えます。
 やさしく美しい姉とその妹の姉妹が出会う様々な事件。じつは姉には人や物の体験したことを読み取る不思議な能力があって、ある経緯から警察からもあてにされるようになります。だが、その能力故に姉は苦しい思いに心を痛めてしまう。
 成人した妹の目線で語られるその連作短編集は、姉が薄命だったことがさりげなく触れられていていっそう物語の雰囲気が切なく感じられます。
 様々な人物が登場し、姉妹との関わりの興趣がつきません。物語の進行が話の終わりに向かっていくと意識するだけでもいとおしいひとときを過ごしていることに改めて気付かされます。
 なおこの本の表紙の絵がとても素敵です。この物語の雰囲気を表していて、きっと手にとりたくなる一冊だと思います。続編も出ていますが、これまたおすすめです。
更新日:2012/07/31(Tue) 16:25 [修正・削除] [管理人に通知]   投稿者:かごめ 
見知らぬ妻へ (浅田次郎)
 好きな作家で紹介せずにいられないひとりに浅田次郎氏がおります。これからこのコーナーで紹介していきたいと思う氏の長編小説がいくつかありますが、氏はまた短編小説の名手でもあります。今回は敢えて短編小説集のなかから一冊をご紹介します。
 『見知らぬ妻へ』は新宿歌舞伎町で、地を這うように生きている主人公がふとしたいきさつから中国人女性との偽装結婚を請け負ってしまうことになる。そうして顔も知らない彼女にすこしずつ心惹かれていく。日常の中の清明な時間。しかしその結末は、決して幸せなことになるはずはなかった。
 ひとの心の優しさ、切なさの余韻の残る作品です。
 <表題作を含む八編>
更新日:2012/07/23(Mon) 13:52 [修正・削除] [管理人に通知]   投稿者:かごめ 
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